看護師はこざき先生
Q.保育園看護師だからできること、目指す姿はなんですか?
このえ保育園に入社したキカッケは“「しなやかな」こころとからだ”。このキーワードにピンっと来ました。私の看護視点で大切にしているキーワードも「しなやかな」です。「しなやかな」という言葉の意味には“やわらかい” という意味があると思いますが、 “たくましさ”という意味合いも含みます。例えば、竹がしなっても蘇る力。世間ではレジリエンスという表現もますが、何かがあって倒れたとしても自分で健康的に立ち直る力をもって貰いたいなと思っています。そして、「しなやかさ」の中には『美しさ』も兼ね備えていると私は感じていて。美しい動作や言葉には『健康』あってこその美しさだなと思うので、そこを大事にこどもたちもそんな『しなやかなこころとからだ』を備えた人に育って欲しいと思っています。
保育園内での看護の技術という面は医療的な事ではなく、メインはこどもや先生達の体調管理や園内含め衛生管理等をしていますが、そういう技術というのも、看護師じゃないとできないという特別な事ではなく、保護者の方がおうちでもできるような、保育士だけの時でもできる、最後にはこどもたち自身も、自分で自己管理ができる、そういう『すべ=技術』を教えたい。と思っています。例えば、咳をして胸がゴロゴロしているような子がいた時に、看護師で病院であれば聴診器を当てると思いますが、(まあ、それも大事な事ですけど…)おうちにいる時に聴診器はないと思いますし、保育士さんだけの時も聴診器は使えないと思います。そんな時は、胸に手を当ててぜぇぜぇするな・・・ゴロゴロするな・・・と感じる事や背中に耳を当てて、胸の音がゴロゴロしている、苦しそうだな、痰が絡んでいるのかな?と、状態を想像することもできます。特別な道具や手段を使わなくても生活の中で生きる術というか…自分の健康を把握したり、こどもの健康把握のために活かせる『すべ』として、学んでいただけたらなぁと思っています。そのような事をみんなが理解してできるようにするには、どうすれば伝わるかな?分かりやすいかな?という事を日々考えています。おうちで出来ることをまずはやってみよう!と試すこと。それが「逞しさ」「しなやかさ」という部分に繋がっていくと思うんですよね。
Q.保育園で働く先生やこどもたちのケアについて意識していることはありますか?
私の保育園内の活動で意識していることは「さりげない体調確認」です。健康的な生活ができるように、先生たちが保育や業務を違和感なく出来るように、そして自宅でも健康的な生活が送れるように。という思いでさりげなく声かけをすることを大事にしています。こどもたちの体調管理も、1日の中で私がこどもたちに声をかけられなくても全員の顔は必ず1日1回は見ておこうと思っています。頭をなでたり、触ってみたりして「今日も元気でよかったね~」という自分の合図みたいな意味も込めて、必ずひとりひとりに向き合うようにしています。触ってみると熱いな。とか今日は落ち着きがないな。わかる事もあるので、必ずひとりひとりの体調をスキンシップの中で確認することを大切にしています。合わせて、衛生面、安全面を管理する必要があるなと思うので、消毒や掃除、ケガをしないように、どこかにトゲのある個所はないかな?壊れているところは無いかな?という視点をもって園内を見回っています。
そしてもう1つ「自分を大切にしてください」ということです。先生方には、特にいつも伝えています。どうしても保育士は現場に出ると保育に夢中になってしまうので、自分の辛さとか痛さを忘れてしまうことが多いです。だから働いている時は体調に気がかりなことがあっても「大丈夫です」と言われることがあります。私は自分を大切に出来ている人こそ、相手の気持ちに立つことができるし、その状況や心情も理解できると思うので、まずは「自分を大切にしようね。」ということを常に発信しています。こどもたちにも「自分を守れないと、大切な人を助けられないんだよ」と機会があるたびに伝えています。こどもたちから「先生、大丈夫?」と変化に対して心配されたり、「先生いつもと違う」と言われるたびに、こどもは本当によく見ているなとハッと驚かされたり、素直なこどもたちの感性に沢山の気づきを感じさせられたりすることが色々とあります。
保育園保健の技術を職員だけなく、こどもにも保護者にもできるような方法で、伝えていきたい
Q.保育園看護の面白さ、楽しさはなんですか?
こども達の日々成長、発達しているところに一緒に携われるっていうことが本当に面白いです。そして、保育士さんってすごく魅力的なんです!この仕事を始めるまでは保育士さんの存在はそんなに身近ではなかったのですが、こどもたちの生活や、色々な行事もこんなにも楽しく過ごせる工夫をしつつ、日々の生活に(保育の)ねらいをつけて計画立てて行っていることが、すごくさりげなくて…とても楽しい時間だなと感じます。「この楽しさって何だろう?」と考えると一番は「自分(保育士自身)も楽しいから」なのかな?と思います。そんな保育生活を毎日一緒に生活していると私も、もう一度こどもになりたい!と感じる事や保育園生活もう一度やりたい!と思うことがとても多いです(笑)。
ミツバチはどうやって花から蜜を吸い上げて集めていくのだろう?とじぃーっと見つめてしまう事があるのですが、そんなこどもになった気分をお休みの日は自然の中で味わうことが好きです。その時間がすごくリフレッシュできるというか、リラックスできている感じがします。そういった事に興味を持つキッカケになったのは、数年前にけがをしたこどもをベビーカーに乗せて受診の帰り道のことでした。歩道のフェンスの上にトンボが止まっていて、私の目の高さでしたから、こどもには見えなかったので「トンボがとまっているよ」とその子に教えてあげたんです。するとその子は「何色のメガネかけてる?」って聞いてきました。・・・何色のメガネ?!あ、トンボのメガネの歌のことか、なんて可愛いんだろう!と思い、水色のトンボだったので「水色のメガネかけてるよ」と答えました。「じゃあかっこいいね」とこどもは嬉しそうに言いました。私も嬉しくなり、純粋な気持ちになった気がしました。それから、童謡など聞くと歌詞に対してそれってどうなっているんだろう?と想像したり、実際に見てみたくなったりするようになりました。この様なことを感じさせて貰える時間が本当に楽しいです。
Q.保育園看護の仕事をしたいと思っている方に伝えたい事はありますか?
保育園看護師は一般的によく「孤独」と言われることがあります。私自身も初めて着任したときは1人看護師だったので、すごく孤独だなって思うことがありました。判断も自分でしないといけないのかな?と変に迫られている様に考えてしまって、緊張感と自信のなさも重なって不安になってしまうことがあったのですが、働いていく中でそうじゃないという事に気付きました。看護師だけじゃなくて、保育士、給食や事務の先生だってみんな仲間なんだ!と思いました。それだけでなく保護者の方も力になってくださるし、園医の先生も行政の方も、連携を取ればとる程ひとりじゃない。ひとりで背負う必要はないんだって思えるようになって気持ちが軽くなりました。時には、こどもたちも「先生大丈夫?」って声を掛けてくれることもあります。だから、「孤独じゃないよ。不安だと思う事もあるけれど、こんなに多くと仲間がいるんだよ。」ということを伝えてあげたいですし、同じ姉妹園なので私たちも仲間だよ!と伝えながら、一緒にやっていきたい!と思ってもらえたら嬉しいですね。
Q.このえ保育園の魅力はなんですか?
自分磨きが出来ることかな。その磨くための新しい自分というか、自分の良さを発見できるところかなって思います。色んな人たちから刺激を受けながら、「私、こんな関わりが好き!」「こんなことが得意だったのか!」「こんなことやってみたいな。」という気持ちになれることだって思います。私も未だに「なりたい事」や「やってみたい事」がいっぱいあります。